家族別の備え

警戒レベル3で高齢者はどう避難する?家族で決める避難計画と準備

高齢者等避難が出てから迷わないために、自宅の災害リスク、避難先、移動手段、支援者、持ち出し品を家族で決める手順を解説します。

CONCLUSION

先に結論

高齢者や避難に時間がかかる人が危険な場所にいる場合、警戒レベル3「高齢者等避難」が避難開始の目安です。平時に危険区域、避難先、移動時間、支援者を紙にまとめ、レベル2までに準備を終える計画にします。

先に結論:高齢者や障害のある人など、避難に時間がかかる人が災害リスクのある場所にいる場合、警戒レベル3「高齢者等避難」が避難を始める目安です。ただし、年齢だけで一律に避難所へ向かうのではありません。自宅が洪水・土砂災害・高潮などの危険区域かを確認し、安全な避難先、移動手段、付き添う人を平時に決めておくことが先です。2026年5月29日から防災気象情報の名称が警戒レベルに合わせて変わったため、家族で新しい呼び方も確認しておきましょう。

警戒レベル3「高齢者等避難」は誰が動く段階?

警戒レベルは、災害の危険度と取るべき行動を5段階で示す仕組みです。警戒レベル2では避難経路や持ち出し品を確認し、警戒レベル3「高齢者等避難」では、危険な場所にいる高齢者や障害のある人、乳幼児がいる家庭など、避難に時間を要する人と支援者が避難を始めます。警戒レベル4「避難指示」では、危険な場所にいる全員が避難する段階です。警戒レベル5を待つ計画にはしません。

ここで重要なのは、「高齢者だから必ず指定避難所へ行く」「レベル3なら全国の高齢者が一斉に外へ出る」という意味ではないことです。対象区域は自治体の発令内容で確認します。自宅が浸水想定区域や土砂災害警戒区域にあるか、建物の階数や構造で屋内安全確保が可能かによって、必要な行動は変わります。自治体の避難情報、気象庁の防災気象情報、現地の状況を合わせて判断してください。

2026年5月29日から、例えば従来の大雨警報は「レベル3大雨警報」のように警戒レベルの数字を付けた名称へ変わりました。気象庁は、自治体の発令前でもレベル3やレベル4相当の情報が出た場合、キキクルや河川水位を確認して自ら避難を判断するよう案内しています。通知が届いてから行き先を探すのでは遅れやすいため、計画は平時につくります。

家族で作る避難計画:5項目を一枚にまとめる

1. 自宅と避難経路の危険を確認する

国土交通省のハザードマップポータルや自治体のハザードマップで、洪水の浸水深、土砂災害警戒区域、高潮、津波などを確認します。避難先までの道に川、崖、アンダーパス、冠水しやすい道路、急な坂がないかも見ます。紙の地図にも印を付け、停電や通信障害でスマートフォンを使えない場合に備えます。

2. 避難先を一つに決めつけない

第一候補、第二候補、行けなくなった場合の代替先を決めます。指定緊急避難場所だけでなく、安全な地域にある親戚・知人宅や、自治体が案内する施設が候補になる場合があります。「避難所」と「指定緊急避難場所」は目的が異なることがあるため、災害種別に対応した場所かを自治体情報で確認してください。福祉避難所は、対象者、開設時期、直接避難の可否が自治体ごとに異なります。最初から利用できると決めつけず、市区町村の福祉・防災窓口に確認します。

3. 移動時間と手段を実際に確かめる

晴れた昼間に、本人と支援者で候補経路を歩きます。歩行器や車いすを使う場合は、段差、幅、勾配、休憩場所を確認します。通常10分の道でも、雨、暗さ、混雑、荷物で時間は延びます。車での避難は渋滞や道路冠水で使えないことがあるため、自治体の計画や避難情報に従い、徒歩・支援車両などの代替も相談しておきます。所要時間は良好な条件での実測値として記録し、余裕を持ってレベル3より前に動く必要があるか家族で検討します。

4. 誰が知らせ、誰が付き添うか決める

家族一人だけを支援者にすると、仕事中や被災時に動けない場合があります。連絡する人、訪ねる人、同行する人を可能なら複数決め、電話がつながらない場合の合図も共有します。自力避難が難しい人は、市区町村の避難行動要支援者名簿や個別避難計画の対象・手続きを確認してください。個別避難計画は市町村が作成に努める制度ですが、登録すれば必ず救助が来るという保証ではありません。ケアマネジャー、地域包括支援センター、民生委員など、普段の支援者にも相談します。

5. 持ち出す情報と物を本人用に調整する

一般的な非常持ち出し品に加え、本人に欠かせない物を小さくまとめます。例は、服薬情報の写し、お薬手帳、健康保険情報、緊急連絡先、眼鏡、補聴器と予備電池、杖、衛生用品、飲み込みやすい食品などです。薬の追加処方や服用変更は自己判断せず、保管方法と災害時の備えを医師・薬剤師へ相談してください。バッグは本人または支援者が安全に運べる重さにし、半年ごとに期限、電池、連絡先を点検します。

家族用マイ・タイムラインの記入例

段階

家族がすること

確認先

平時

危険区域、避難先2か所、経路、支援者、必要品を決めて歩く

自治体ハザードマップ、防災・福祉窓口

警戒レベル1

気象情報を確認し、家族と予定を共有する

気象庁、自治体

警戒レベル2

バッグ、薬、補助具、雨具を玄関近くへ。支援者へ連絡する

注意報、キキクル、交通情報

警戒レベル3

対象区域で避難に時間がかかる本人と支援者が安全な場所へ移動する

高齢者等避難、レベル3相当情報

警戒レベル4

危険な場所に残る人は全員避難。危険な屋外移動は避け、その時点で可能な安全確保を取る

避難指示、レベル4相当情報

この表はひな型です。川の増水と土砂災害では危険の進み方が異なり、自治体の発令単位も地域で違います。本人の歩行速度や介助内容に合わせて「レベル2が出たら親族が迎えに行く」「雨が強まる前に親戚宅へ移る」など、具体的な時刻・連絡先・担当者に置き換えてください。

避難当日にやってはいけない判断

  • 警戒レベル5まで待つ:レベル5は災害が発生・切迫している段階で、必ず発令される情報でもありません。レベル4までの避難完了を基本にします。
  • 川や崖を見に行く:状況確認のために危険箇所へ近づかず、キキクル、河川情報、自治体発表を使います。
  • 無理にいつもの避難所へ向かう:経路が冠水・崩落している場合は移動が危険です。近くの頑丈な建物の上層階や崖から離れた部屋など、その時点で可能な安全確保を選びます。
  • 支援者が一人で抱える:本人を運ぶ動作や車いす介助を本番だけで行うと、本人と支援者の双方がけがをするおそれがあります。平時の訓練と複数人の連絡網を用意します。

今日できる10分点検

  1. 自宅住所をハザードマップで検索する。
  2. 自治体の防災メールや通知を登録する。
  3. 警戒レベル3で行く場所を二つ書く。
  4. 移動を手伝う人を二人候補にする。
  5. 本人の薬・補助具・連絡先を一枚にまとめる。

高齢者の避難準備は、備蓄品を増やすだけでは完成しません。「いつ、どこへ、誰と、どうやって」を決め、本人と一度動いてみることで、警戒レベル3が出たときの迷いを減らせます。体調、介助量、住環境が変わったときや、自治体の避難先が更新されたときは計画も見直してください。

出典・一次情報