ペット同行避難とは、災害時に飼い主がペットと一緒に安全な場所まで避難する行動です。避難所で人とペットが同じ部屋に入れることを意味するわけではありません。まず飼い主と家族の安全を確保し、自宅が安全なら在宅避難、一時預け先、ペットを受け入れる避難所などから状況に合う方法を選びます。
大切なのは、災害が起きてから「この避難所に犬や猫を連れて行けるか」を調べ始めないことです。受入対象、飼育場所、必要なケージ、受付方法は自治体や施設ごとに異なります。2026年8月23日時点の公的情報をもとに、確認手順と持ち物を整理します。
同行避難と同伴避難は同じではない
環境省と東京都は、同行避難をペットとともに避難所などの安全な場所へ移動する行動として説明しています。避難所に着いた後、飼い主とペットが同じ生活空間で過ごせるか、別の一時飼育場所になるかは別の問題です。動物が苦手な人やアレルギーがある人への配慮も必要で、多くの施設では人の居住区域と飼育区域を分けます。
「同行避難可」と書かれていても、室内同伴、車中での飼育、屋外のケージ置き場など条件は一律ではありません。また、一般的な犬・猫・小鳥・小型げっ歯類以外は受入れが難しい場合があります。自治体の防災担当または動物愛護担当へ、次の点を具体的に確認してください。
- 地震時と風水害時で、ペットを受け入れる避難先が同じか
- 対象となる動物種、頭数、大きさに制限があるか
- キャリーやケージを飼い主が持参する必要があるか
- 飼育場所は屋内か屋外か、飼い主と別室か
- 受付票、ワクチン接種記録、鑑札など何を提示するか
- 給餌、排泄物処理、清掃を誰が担当するか
横浜市は2026年8月12日更新の震災向け案内で、在宅避難、一時預け先、地域防災拠点への避難など複数の行動を事前に検討するよう案内しています。これは横浜市の運用例であり、全国共通の受入条件ではありません。自分の市区町村の最新情報を確認することが必要です。
避難先は一つではなく三つ用意する
第一候補は、自宅が安全でライフラインや衛生面に大きな問題がない場合の在宅避難です。建物に倒壊、火災、浸水、土砂災害などの危険があるときは自宅にとどまりません。避難所へ行くことだけを目的にせず、その時点でより安全な場所を選びます。
第二候補は、自治体が指定する避難所や一時避難場所です。地震向けの地域防災拠点と、台風・大雨時に開設される避難場所が異なる自治体もあります。開設状況やペット受入れ可否は災害ごとに変わる可能性があるため、平時の確認に加え、発災時は自治体の公式サイト、防災アプリ、防災行政無線などで最新情報を確認します。
第三候補は、被災地域外の親族・知人、動物病院、ペットホテルなどの一時預け先です。災害時に必ず利用できるとは限らないため、事前に受入条件、連絡方法、費用、休業時の扱いを確認します。環境省も、家族や地域住民との連携と一時預け先の確保を平常時の備えに挙げています。
候補ごとに徒歩の経路を一度歩き、危険な塀、ガラス、冠水しやすい場所、狭い道を確認します。犬をリードだけで移動させる計画は、余震や大きな音で制御できなくなる可能性があります。小型犬や猫はキャリー、大型犬はリードと予備リードなど、普段の性格と体格に合う方法を動物病院にも相談してください。
ペット同行避難の持ち物チェック
人の非常持出品とは別に、ペット用品を一つの袋へまとめます。ただし、重すぎて運べなければ役に立ちません。飼い主が実際に持って避難経路を歩ける重さにし、フードや水など長期分は自宅備蓄と持出分に分けます。
命と健康を守る物
- 療法食を含む普段のフードと飲料水
- 常用薬、薬の名前・用量・投与時刻を記した紙
- 予備の首輪、ハーネス、リード
- 移動と一時飼育に使えるキャリーまたはケージ
- 食器、ペットシーツ、猫砂、排泄物用袋
薬や療法食を自己判断で変更しません。保管温度や使用期限、災害時に追加処方を受ける方法は、かかりつけの獣医師に確認します。暑い時期は、屋外の飼育場所や車内が高温になる危険があります。車中避難を選ぶ場合も、エンジン停止中の車内にペットを残す計画にはしないでください。
迷子と受付に備える情報
- 飼い主の氏名、電話番号、避難先を書いた迷子札
- ペットの全身・顔・特徴が分かる写真
- 飼い主とペットが一緒に写った写真
- ワクチン接種、治療歴、アレルギー、かかりつけ医の記録
- 自治体指定の同行避難登録票があれば記入済みの用紙
マイクロチップを装着している場合も、登録情報の住所と電話番号が古くないか確認します。スマートフォンだけに情報を保存すると、電池切れや通信障害で提示できないため、防水袋に入れた紙も用意すると確認しやすくなります。
キャリーやケージは災害当日が初回にならないようにする
避難所へ運べるキャリーがあっても、ペットが入ることを強く嫌がれば、安全な移動が難しくなります。平時から扉を開けて生活空間に置き、中で食事やおやつを与えるなど、落ち着ける場所として少しずつ慣らします。無理に閉じ込めて恐怖を強める方法は避け、必要なら獣医師や専門家へ相談します。
犬は「待て」「おいで」など基本的な合図、人やほかの動物の近くで落ち着く練習、決めた場所での排泄が避難生活の負担軽減につながります。猫は洗濯ネットを補助的に使う方法が案内されることもありますが、通気や体調に注意し、長時間の飼育容器にはしません。鳥や小動物は温度変化や逃走対策が種によって異なるため、普段の診療時に移送方法を確認します。
月に一度は、キャリーの留め具、ケージの組立て、リードの傷み、薬とフードの期限、迷子札の文字を点検します。防災週間には家族で受付役と運搬役を決め、玄関から安全な場所まで実際に移動する短い訓練を行うと、持ち物の過不足を見つけやすくなります。
地震と風水害では避難のタイミングが違う
地震では、揺れている間にペットを追って危険な場所へ移動せず、まず自分の頭と体を守ります。揺れが収まった後、火災や建物被害を確認し、安全に確保できる場合にペットをキャリーなどへ入れます。外出中に発災したときは、危険区域へ無理に戻らず、自分の被災状況、避難情報、帰宅経路を踏まえて判断します。
台風や大雨は接近前から情報を得られるため、雨風が強くなる前の移動が基本です。横浜市も、悪天候になってからペットを連れて移動することは非常に困難になり得ると案内しています。浸水や土砂災害の危険がある地域では、自治体の避難情報とハザードマップを確認し、ペットの準備に時間がかかることを見込んで行動します。
どの災害でも、ペットの同行避難を理由に危険な自宅へ戻ったり、冠水した道へ入ったりしません。同行避難は飼い主自身の安全が確保されていることが前提です。避難所が満員、施設が未開設、受入条件が変更された場合に備え、複数の避難先と連絡先を紙に書いておきます。
今日やることは自治体への一件の確認
最初の一歩は、最寄りの避難所名だけを覚えることではありません。自治体の公式ページで「ペット 同行避難」を検索し、地震時と風水害時の受入場所、飼育場所、必要な用品、受付票を確認してください。情報が見つからなければ、防災担当または動物愛護担当へ問い合わせます。
確認後は、家族の連絡カードに「第一避難先」「第二避難先」「一時預け先」「ペット用品の置き場所」を追記します。人の安全、建物の安全、避難情報を優先しながら、ペットを置き去りにしないための現実的な選択肢を平時に増やすことが、同行避難の準備です。
出典・一次情報
- 環境省「ペットの災害対策」(2026年8月23日確認)
- 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」(2026年8月23日確認)
- 東京都保健医療局「『同行避難』するために」(2026年8月23日確認)
- 横浜市「災害時のペット対策(震災)」(最終更新2026年8月12日、同年8月23日確認)
- 横浜市「災害時のペット対策(風水害)」(最終更新2026年7月1日、同年8月23日確認)
- 内閣府「令和8年度 防災週間及び火山防災の日について」(2026年8月23日確認)