先に結論:赤ちゃんの防災備蓄は、普段1日に使うミルク・水・離乳食・おむつなどを実際に数え、まず最低3日分、できれば1週間分を用意します。赤ちゃんは月齢や授乳方法によって必要量が違うため、全国共通の個数をそのまま買うのではなく、わが家の使用量から計算することが大切です。
また、すぐ持って避難する「持ち出し用」と、自宅で断水・停電をしのぐ「在宅備蓄」を分けてください。2026年7月に公表された乳幼児家庭の調査でも、停電・断水時の授乳や水、衛生面への不安が多く確認されています。この記事では、不安をあおらず、今日数えられるものから順に整理します。
赤ちゃんの備蓄は最低3日、できれば1週間を目安にする
内閣府は、家庭で食料や飲料水を最低3日間、できれば1週間備蓄するよう案内しています。乳幼児用品も同じ期間を基本にしつつ、支援物資がすぐに届くとは限らないこと、避難所で月齢・体質に合う品が必ず手に入るわけではないことを考えて、普段使っている品を家庭で確保しておきましょう。
必要数は次の式で計算できます。
普段の1日使用量 × 備える日数 + 予備
たとえば、おむつを普段1日7枚使う家庭なら、3日分は21枚、7日分は49枚が基準です。交換回数には個人差があり、下痢や暑い時期には増えることもあるため、持ち運べる範囲で予備を足します。ミルクは製品表示と普段の授乳量・回数を基準にし、自己判断で濃くしたり薄くしたりしません。
品目 | 3日分の数え方 | 1週間分の数え方 | 見直すタイミング |
|---|---|---|---|
育児用ミルク | 普段の1日量×3日 | 普段の1日量×7日 | 授乳量・回数、製品変更時 |
調乳用の水 | 調乳に使う1日量×3日 | 調乳に使う1日量×7日 | 授乳方法が変わった時 |
離乳食 | 普段の食数×3日 | 普段の食数×7日 | 月齢・食形態の変化時 |
おむつ | 普段の枚数×3日+予備 | 普段の枚数×7日+予備 | サイズ変更時 |
おしりふき・ごみ袋 | 普段の消費量を基準 | 普段の消費量を基準 | 補充時に残量確認 |
政府のプッシュ型支援には乳児用ミルクや乳児・小児用おむつも含まれますが、これは主に避難所避難者への緊急支援です。届く時期、銘柄、サイズまで家庭の希望どおりになるとは限らないため、自宅の備蓄を置き換えるものとは考えないようにします。
授乳方法別にミルクと水をそろえる
母乳中心の家庭
母乳中心でも、授乳する人の飲料水、すぐ食べられる食品、母乳パッドや清浄綿など普段使う衛生用品を用意します。災害時だから育児用ミルクへ切り替える必要があるとは限りません。厚生労働省の資料は、母乳が出る場合はこれまでどおり続けることを案内しています。授乳や体調に不安があれば、助産師、保健師、医療機関など専門職へ相談してください。
粉ミルクを使う家庭
粉ミルクだけでなく、調乳に使える水、加熱手段、清潔な哺乳用具を一組として考えます。消費者庁は、粉ミルクの調乳には一度沸騰させ、70℃以上に保った湯を使うよう案内しています。製品表示の手順を必ず優先し、断水時に洗浄・消毒が難しい場面も想定しましょう。
農林水産省は、粉ミルクには水道水または国産のミネラルウォーターを使い、井戸水は使わないよう示しています。ペットボトル水を選ぶときは、赤ちゃんの負担を考え、硬水は可能なら避けるという厚生労働省資料の注意も確認してください。水の種類に迷う場合は、かかりつけの医療機関や自治体の保健師に相談します。
液体ミルクを備える家庭
乳児用液体ミルクは水や熱源を使わず、そのまま飲ませられるため、停電・断水時の選択肢になります。ただし、初めての製品を災害時に突然使うのではなく、平時に製品表示と飲ませ方を確認しておくと安心です。
消費者庁は、開封後はすぐに使用し、飲み残しを与えないこと、直射日光や火の近く、夏の車内を避けることを案内しています。容器包装によって保存期間が異なるため、記事の数字ではなく、手元の製品に表示された賞味期限と保存方法を確認してください。
食事・おむつ・衛生用品のチェックリスト
食品だけをそろえても、断水時に手や食器を清潔に保てなければ負担が増えます。赤ちゃんが普段口にするものと、排せつ・着替え・睡眠に使うものを一緒に点検しましょう。
- 月齢と食形態に合い、普段から食べ慣れたレトルト・瓶詰などの離乳食
- 食物アレルギーがある場合は、原材料を確認した対応ミルク・離乳食
- 使い捨てスプーン、紙コップ、清潔な哺乳用具
- おむつ、おしりふき、消臭袋・ごみ袋
- 着替え、肌着、ガーゼ、タオル、抱っこひも
- 母子健康手帳の写し、健康保険情報、服薬・アレルギー情報、緊急連絡先
- 普段使う薬や保湿剤。処方薬の備え方は医師・薬剤師へ相談
- 体温調節に使う衣類、帽子、ブランケットなど季節に合う用品
農林水産省は、乳幼児向けに粉ミルク・液体ミルク、哺乳瓶、紙コップ、使い捨てスプーン、多めの飲料水、離乳食、好物などを例示しています。アレルギー対応食品は、購入時に原材料表示やメーカー公式情報を確認し、不明点はメーカーへ問い合わせましょう。
注意:1歳未満の乳児には、はちみつや、はちみつ入りの食品・飲料を与えないでください。非常食や菓子を取り分ける際も原材料表示を確認します。
持ち出し用と在宅備蓄を分ける
1週間分を一つのバッグに詰めると重くなり、赤ちゃんを抱いて安全に避難しにくくなります。役割を分けると管理しやすくなります。
すぐ持つバッグ
半日から1日程度を目安に、避難開始直後に必要な授乳セット、おむつ、着替え、衛生用品、母子健康手帳の写し、モバイルバッテリーなどを入れます。実際に赤ちゃんを抱っこした状態で持ち、階段や玄関を安全に通れる重さか確認してください。
自宅に置く備蓄
残りの3日〜1週間分は、浸水、落下、直射日光、高温を避けて分散保管します。水害リスクがある地域では上階や高い棚も候補ですが、重い水を不安定な高所に置かないなど転倒・落下にも注意します。地域のハザードマップと避難所の場所、乳幼児スペースの有無も自治体へ確認しておきましょう。
夏の停電に備えて避難先を先に決める
夏の停電ではエアコンや扇風機が使えません。堺市が2026年7月14日に更新した情報でも、乳幼児は体温調節機能が未発達なため特に注意が必要とされ、こまめな水分補給や、顔が赤い・ひどく汗をかくなどの異変を早く見つけることが案内されています。
冷却用品や充電式扇風機は補助にはなりますが、室温上昇を止めるものではありません。停電が長引き、室内で安全に過ごせない場合に移動できる、親族宅、自治体が開設する避難所や冷房のある施設などを平時に確認してください。乳幼児に異変がある、意識や反応がおかしいなど緊急性が疑われる場合は、備蓄品だけで対処せず救急要請を含め専門機関の指示を仰ぎます。
月1回、月齢の変化に合わせて更新する
赤ちゃん用品は短期間でサイズや必要量が変わります。毎月同じ日に、おむつのサイズ、ミルクと離乳食の賞味期限、アレルギー情報、着替えのサイズ、電池残量を確認しましょう。普段使いから補充するローリングストックなら、期限切れを減らしながら、赤ちゃんが食べ慣れたものを維持できます。
- 今日、ミルク・離乳食・おむつの1日使用量をメモする
- 3日分との差を買い足す
- 収納に余裕ができたら1週間分へ広げる
- 持ち出しバッグを実際に背負って重さを確認する
- 家族で避難先と連絡方法を共有する
一度に完璧を目指す必要はありません。まず3日分を見える化し、日常で使いながら更新できる仕組みにすることが、乳幼児家庭にとって続けやすい備えです。
出典・一次情報
- 内閣府「自然災害への備えは万全ですか?チェックしてみよう!」(2026年7月22日確認)
- 政府広報オンライン「プッシュ型支援 自治体の要請待たずに物資輸送」(2026年7月22日確認)
- 農林水産省「要配慮者と単身者の食品ストックガイド」(2026年7月22日確認)
- 消費者庁「乳児用調製粉乳の誤った調乳での事故に注意」(2026年7月22日確認)
- 消費者庁「乳児用液体ミルクってなに?」(2026年7月22日確認)
- 厚生労働省「授乳のギモン解消ガイド」(2026年7月22日確認)
- 堺市「停電時のこどもの熱中症対策」(2026年7月14日更新、7月22日確認)
- 農林水産省「赤ちゃんを守るために」(2026年7月22日確認)
公開前には、手元の製品表示、月齢に合う使用方法、自治体の避難情報を改めて確認してください。